2018年06月07日
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三百字小説『無残なスザンナ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 スザンナは相手を切り刻むのが大好きだった。もちろん、本当に切り刻むわけではない。そうではなく、相手のことを調べ上げて精神的に何もかも暴き出して相手を屈服させるのだ。

 ところが、あまりにもスザンナの被害者が増えた結果、自然発生的にスザンナの被害者の会が生まれてしまった。

 やはり心を切り刻む方がいい。

 そこでプロに依頼が飛んだ。

 ところが、何かが途中で間違ってしまい、

肉屋にスザンナの脳を解体してくれという依頼に化けた。

 スザンナは殺され、脳はばらばらにされてしまった。

 おおスザンナ、なんて姿に。

 全てのスザンナの脳の断片が集められ、クローン再生が行われた。

 その結果、百人のスザンナが生まれた。

 被害は百倍になった。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

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