「良く出来ていて、見ていて泣けた。が、気になる点も残った」
「良かった点はどこ?」
「世代交代の話だからね。緑谷少年とオールマイトが並んで戦うのはおそらく最初で最後ぐらいの感覚だろう。オールマイトはもう引退する……という含みを感じられるのが良いな。あと子供達が非常に制約的な描き方をされていて、子供の限界がはっきりと見える。これは誠実な描き方」
「なるほど」
「結局、親子連れの客からすれば、子供は緑谷少年に感情移入でき、親はオールマイトに感情移入できる。そんなバランスだろう」
「じゃあ、気になる点は何?」
「キャラ数には大なたが入っているがそれでも多い。本当にお茶子が出てくる意味まであったのか。話を分かりにくくしているだけではないか。爆豪少年の性格は面白いが、はたして初見の人に彼の性格が理解できるか。キャラ的に説明不足になっている部分はわりとあったと思う」
「しかし、分かりにくいキャラの出番は無かったりするのよね」
「それでも、ちょっと苦しい気がした。しかし、キャラ人気に支えられたこういう作品では、これ以上人数は削れないのだろう」
「難しいね」
「もともと、超長編向きの作りになっていてキャラクターが多いのだ。映画にするのはその点で難しい」
「じゃあ、そのあたりの問題をひっくるめて評価すればどうなる?」
「まあ、泣けたから良かったと思うよ」
オマケ §
「実はイヤホンジャックの女の子が凄く活躍してた。こっちがヒロインじゃないか? と思えるぐらい。特にオールマイトの声を遠距離から拾うときのシーンなどはもの凄く格好いい」
「そこでも、お茶子の存在意義が……」
「あと、映画専用の防具、使用回数に制限があって壊れて終わるのも良かったね。ああ、確かに映画が終わるのだと実感できる」