「あまり心引かれなかったのだが、突如、東京朝顔園の末裔だと分かって子細に見たいと思うようになった」
「それで?」
「中を一回りして、外を一回りして係員に話を聞いてきた」
「それで?」
「花は良い。心安らぐ」
「もっとマニアックな話を」
「ここは水路が中央を貫通している。水路マニアは楽しいぞ」
「他には?」
「明らかに水路ないし湿地を埋めただろ……と言いたくなる場所がいくもあって、さすが昔は花菖蒲園という感じだった」
「係員の人はどうだった?」
「朝顔はほぼ無いそうだ。季節でも一つぐらいしか展示されないそうだ。東京朝顔園の名前も知らなかった。花菖蒲園の名前は知っていた。まあそんなものだろう。社史でもほとんど扱われていない東京朝顔園だからな」
「それでも、行った価値はあった?」
「あったぞ。いろいろ分かった」