A部隊の索敵班は双子の兵士だった。
彼らはうり二つで、親しい友人ですら間違えた。
彼らは一人に見せかけつつ、一人が囮になり、もう一人が敵地に潜入する方法で偵察を続けた。
しかし、深夜こっそり忍び込んだにもかかわらず、ついに二人とも捕まる日が来た。
「なぜだ。どうして顔がそっくりなのに二人いることが分かった」
「サーモグラフィーカメラで熱源だけ追っていると顔は分からないからね」
「なぜ顔を見ないでわざわざ熱源だけ……」
「深夜で真っ暗だから」
温度情報だけで見ると、敵の兵士と双子の偵察員はうり二つだった。
(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)