2018年12月20日
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三百字小説『ふたごの索敵班、ツイン偵察員』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 A部隊の索敵班は双子の兵士だった。

 彼らはうり二つで、親しい友人ですら間違えた。

 彼らは一人に見せかけつつ、一人が囮になり、もう一人が敵地に潜入する方法で偵察を続けた。

 しかし、深夜こっそり忍び込んだにもかかわらず、ついに二人とも捕まる日が来た。

 「なぜだ。どうして顔がそっくりなのに二人いることが分かった」

 「サーモグラフィーカメラで熱源だけ追っていると顔は分からないからね」

 「なぜ顔を見ないでわざわざ熱源だけ……」

 「深夜で真っ暗だから」

 温度情報だけで見ると、敵の兵士と双子の偵察員はうり二つだった。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

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