「今日、たまたま散歩していて、久しぶりにお目玉の池の池でも見るかと思ってちょっと道を曲がったらびっくり仰天。池がない」
「なぜだよ」
「話によると、お寺さんが危ないからという理由で埋めたそうだ」
「お寺さん?」
「おそらく池の所有者は医王寺なのだろう。近隣の住宅は借家らしい。池の所有者ではないようだ」
「埋められた時期は?」
「1年も経っていないそうだ」
「他には何か聞けたかい?」
「埋められたとき、うなぎが2匹いたそうだ。ほかの5匹ぐらいナマズがいたこともあるが、奥の住人が取って食べてしまったらしい。手前の道に水が流れていたことも話してくれた」
「池が埋められて郷土史の語り手がまた1つ消えたわけだね」
「実は、1964年の東京オリンピックの頃に東京の景観が大きく変わったのと同じように、2020年の東京オリンピックを前に東京の景観がいろいろ変わりつつあるような気がする。散歩の道中で建て替えている建物もわりと多かった」
「何かの節目に遭遇しつつあるのかも知れないね」