2019年04月11日
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三百字小説『狛江の力を見せてやれ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 町で悪漢が暴れていた。

 そこで、町のみんなは狛江君に期待した。

 狛江君は空手の達人だった。

 狛江コールが起こった。

 町のみんながよんでる。

 「狛江の空手を見せてやれ」

 しかし、「師匠からお許しが出ません」と狛江君は戦わなかった。

 だが師匠は行方不明だ。

 もう万事休すかと思いきや。

 町長がネパールで師匠を見つけて来たのだ。

 師匠が町に戻ってきた。

 「狛江よ。強くなったらしいな。悪漢を倒して強さを見せてみよ」

 みんな喝采した。師匠のお許しが出たのだから狛江君は戦ってくれるはずだ。

 しかし、翌日狛江君は逃げ出して消えていた。

 狛江君の空手は空手形だった。

(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)

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