2019年04月25日
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三百字小説『狩猟民族対酒量民族』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ある日、狩猟民族はどちらが優れているか決める勝負を酒飲み族に挑んだ。戦えば必ず勝てることが分かっていたからだ。

 「種目を決める権利だけはおまえ達にゆずってやる。せめてもの武士の情けだ」

 酒飲み族は慌てて集まって協議を始めた。

 彼らにも勝てそうな種目を探して議論しているのだろうと狩猟民族はあざ笑った。

 やっと答がでた。

 「種目が決まった。ひたすらワインを飲んで先に酔い潰れた方が負け」

 「は?」

 「どんな勝負でもいいんだろ?」

 「じゃあ、なんであんなに議論していた」

 「いやー、ウィスキー派とワイン派が対立してね。決めるのに時間を食った」

 その後、全員酔い潰れた狩猟民族は、酒飲み族を酒量民族と呼んで怖れたという。

(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)

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