「ふむふむ。なるほど」
「何がなるほどなんだい?」
「通常の物語は一度設定した制約は基本的に変更しない。誤認させて真の設定を秘匿しておき、途中で暴露することはあるけどね」
「それで?」
「十蔵の強さは設定の上書きに相当すると思うよ」
「それは禁じ手なのかい?」
「そうでもない。物語に奉仕するためであれば物語にタブーはない」
「いいのかよ」
「分かってない人は【何をしてもいい】と錯覚するけどね。それは違う。何をしても良いわけではない。しかし、物語にサプライズを入れるためには何を使っても良い。そこにタブーはない。それは物語を物語として機能させるために必要とされるものであって、物語を壊して良いという話ではない」
「つまりどういうことだい?」
「この状況にどう決着を付けるつもりなのか。次回が楽しみだ」