2019年05月23日
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三百字小説『落札宇宙拳』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 宇宙拳法の使い手の僕は、道場を開いて無敵の看板を掲げた。

 そこで、最初の客が来た。

 「オークションで落札したいものがあるんです。でも、いくら無敵の拳法でも必ず競り勝つのは無理ですよね」

 「任せなさい! 宇宙拳法に不可能はない!」

 僕は競り合いに勝利し、鮮やかに落札を決めた。

 「まさか拳法を使って相手を殴ったりしてないでしょうね?」

 「ちゃんとルールを守って勝ちましたよ。殴るのはルール違反です」

 「で、落札価格はいくらですか?」

 僕は相場の十倍の値段を言った。「三日以内にここに振り込んでね」

 僕は客に殴られた。

 殴るのはルール違反じゃないか。

(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)

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