2020年01月02日
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三百字小説『どろンの騎士』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 男なのに女として育てられた少年、リボンシトロンは、妖怪達に身体のパーツを奪われてしまった。リボンシトロンは自分の身体のパーツを取り戻すべく妖怪退治を始めた。

 「よくも仲間を倒してくれたな。わしが最後の妖怪、どろ田坊だ。返り討ちにしてくれる」

 「待て。私はおまえと戦う気は無いんだ」

 「なんだと。わしを倒さねばおまえの男性器は二度と戻らないぞ」

 「それで……いいんだ(ぽっ)」

 男なのに女として育てられた少年、リボンシトロンは宦官として宮廷に入り、皇帝の寵愛を受けて出世したという。

 めでたしめでたし。

 「めでたくない。わしは使い道のない男性器を持ったままだ」

(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)

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