Written By: 遠野秋彦
マヤはデマ屋だった。
マヤの言うことは何もかも嘘だったのだ。
そのことが広まり、マヤの言うことは全部嘘だと思われたので、マヤはここがヤマ場だと思った。ここでマヤは最後の究極の嘘を言うことにした。
「マヤはデマ屋です」
人々は悩んだ。マヤの言うことは全て嘘だから、マヤはデマ屋ではないことになるがマヤはデマ屋で間違いない。
硬直した人々を背にマヤは次の街に向かった。嘘のヤマ場を越えた今、ここにもう用は無いのだ。
(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)