2020年03月13日
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三百字小説『デマ屋のマヤ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 マヤはデマ屋だった。

 マヤの言うことは何もかも嘘だったのだ。

 そのことが広まり、マヤの言うことは全部嘘だと思われたので、マヤはここがヤマ場だと思った。ここでマヤは最後の究極の嘘を言うことにした。

 「マヤはデマ屋です」

 人々は悩んだ。マヤの言うことは全て嘘だから、マヤはデマ屋ではないことになるがマヤはデマ屋で間違いない。

 硬直した人々を背にマヤは次の街に向かった。嘘のヤマ場を越えた今、ここにもう用は無いのだ。

(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)

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