ある日、赤鬼は野球のナイターに誘われた。しかし、赤鬼は野球に興味がない。それでもお付き合いと言うことでナイターに行った。
すると、試合は感動的な展開になり、逆転サヨナラで観客は全員泣いた。
赤鬼も泣いた。
すっかりナイターに味を占めた赤鬼はナイターに通った。
しかし、感動的な試合など多くはない。
「泣きたい。もっと泣きたい!」赤鬼は焦った。
これで泣けなければナイター通いは辞めよう。赤鬼はそう思って球場に行った。
そして見事に赤鬼は泣いた。
ファウルの打球が赤鬼の顔に命中して痛かったのだ。
(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)