2020年06月04日
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三百字小説『マリアナのマリア』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 マリアナ海溝の底に一匹の深海魚が住んでいた。

 深海魚は美人で性格も良かった。

 まるでマリア様みたいだと評判になり、ついた名前はマリアだった。

 マリアの評判を聞きつけて、多くの魚が集まってきた。

 それがイヤでたまらなかったマリアはマリアナ海溝から逃げ出した。

 マリアはボロボロになり身体も汚れながらやっとアリューシャン海溝に辿り着いた。

 そこでは汚れたマリアを【マリア様みたいだ】と寄ってくる魚はいなかった。

 ホッとしたマリアは「朝だけどシャンプーしよう】と頭を洗った。

 マリアはアリューシャンの朝シャン美人深海魚として一躍有名になってしまい、魚たちが集まってきた。

(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)

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