2020年09月10日
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三百字小説『2001年宇宙のタービン』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 タービンは発電所で蒸気の力で発電機をまわす仕事をしていた。

 しかし、いつまでもそんなつまらない仕事をしている気は無かった。

 「いつか俺は宇宙に行って、巨大宇宙船の発電機をまわすんだ」

 ついに、タービンに宇宙に行くチャンスが巡ってきた。

 「巨大天体が地球に接近してくる。全ての施設を超巨大宇宙船に積み込んで全人類は地球を脱出するぞ」

 タービンは歓喜した。ついに宇宙で発電機をまわせるんだ!

 しかし、宇宙でタービンの出番は無かった。

 「蒸気? 命の次に大事な水を発電に使えるか。宇宙空間に大量の水はないんだ。電力は太陽電池で十分」

 仕方なく、タービンは宇宙船内のよどんだ空気をかきまわした。

(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)

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