なぜドイツ語は敵性語なのか: あなたの知らない敵性語のもう1つの顔
「これはなんだい?」
「新刊だ」
「なぜ敵性語なんかに興味を持ったんだ?」
「ハイキングの歴史を研究しているときに、戦時中はハイキングという言葉が使用されていないという問題に遭遇してな。そこからだ」
「それで何が分かったの?」
「実は調査を始めてすぐに【ドイツ語は敵性語である】という事実に突き当たってしまったのだ」
「どうしてだよ。ドイツは太平洋戦争で敵じゃないだろ」
「そう思うだろう? とても意外だろう?」
「なぜ敵じゃないドイツの言葉が敵性語なんだよ」
「実は、ソ連とも開戦していないがロシア語も敵性語になるみたいだ」
「えー。理屈に合わないよ」
「そうだ。理屈に合わないことを明らかにしてしまった」
「敵じゃないのに敵性語?」
「そうだ。より厳密に言うと、敵性語の【敵】は戦争の【敵】ではなかったのだ」
「だから表紙のインチキ英題がEnemies are not our enemiesなんだね」