ペンギンは陸上選手だった。飛べないので、走ったのだ。
ペンギンの目標は北京の大会で金メダルを取ることだった。
だが、努力しても世界記録には手が届かなかった。
そこでペンギンは考えた。
「薬物は規約違反だ。機械の力に頼ろう」
ペンギンはサイボーグ手術に志願して、銀色に輝くロボ・ペンギンになった。
銀のペンギンは北京に向かった。
ところが、北京もすっかりメカ都市になっていてしかも金メッキまでされていて、金色に輝いていた。
銀のペンギンは金の北京を全力疾走した。
しかし、3位に終わった。
ペンギンは悔しくて暴れ馬のように暴れた。
そして、「どうどう」と馬のように落ち着けと言われてしまった。
(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)