2021年04月05日
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三百字小説『着物は人気者』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 着物ブームが起きた。

 今や着物は街の人気者である。

 着物を着る人はキモラーと呼ばれ、持てはやされた。

 そこで俺は考えた。

 「俺も着物を着て人気者になる!」

 俺は古着屋に行っていちばん安い着物一式を揃えて着てみた。

 ちょっと小さいが上手く着られた。

 俺は胸を張って外に出た。

 「俺もキモラーデビューだ!」

 すると道行く女が言った。「おまえなんかキモラーじゃない」

 「じゃあ何だよ」

 「ただの女装変態だ」

 俺が値段だけ見て買った着物は女ものだった。

(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)

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