「すまん、色眼鏡で見てた。これは良い映画だ」
「泣くための映画じゃない?」
「泣いたことは事実なんだが、これ泣ける理由はあざとく泣けるストーリーだからではない」
「じゃあなぜ泣けるんだ?」
「大人の視点で子ども時代を振り返り、そこから元の場所に帰還する映画だからだ。こういうテーマを選んだ時点で必然的に泣ける。でも、それは泣かせるためのあざとい戦略でもない」
「それだけ?」
「じゃない。実はこの映画2段構成なんだ。前半は小学生ののび太がおばあちゃんがまだ生きていた時代に戻る話。後半は大人ののび太が小学生に戻る映画なんだ」
「なるほど」
「ストーリー全体は、死んだおばあちゃんに花嫁を見せました、というだけの話で、それ自体はそんなに泣ける話でもない。ポイントはそこではないのだ」