2021年04月19日
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三百字小説『巨大化ヒーロー対怪物イカ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 若者イカは長老イカから話を聞いていた。

 「いいか若者よ。イカにはタコにはない凄い能力がある」

 「それはなんでしょう」

 「巨大化だ」

 「どうしてイカだけ?」

 「キョダイカにイカは含まれてもタコは含まれない」

 「なるほど」

 「今から君は巨大化ヒーロー・イカイダーゼロワンとなって、怪獣と戦うのだ」

 「はい、長老」

 「さっそくだが、怪物イカが現れた。巨大化して戦ってくれ」

 「喜んで!」

 若者は巨大化して怪物イカの前に降り立った。

 「うわあ。怪物イカが出た!」

 「えっ?」

 「巨大化したイカが怪物イカじゃなくてなんだ!」

 若者は怪物イカ扱いされた。

(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)

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