2021年04月24日
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チャリオット特殊潜航艇の話題の続き・チャリオット特殊潜航艇が沈めた2隻目が判明+スマトラの正体が迷宮入り

Written By: 川俣 晶連絡先

「これは1隻撃沈説と2隻撃沈説が存在する矛盾・チャリオット特殊潜航艇は1944年10月28~29日のシャム・プーケット港で何をしたのかの謎の続きの話題だ」

「何かあったの?」

「匿名の読者寄りの情報により、2隻目が分かった」

「それはなんだい?」

「Sumatra(スマトラ丸)ともう1隻は、Volpi(ヴォルピ)であった」

 その二隻とは、最近海難救助されて、目下、シンガポールヘの曳航を待機中の「スマトラ丸」と、まだ引き揚げ作業中の「ヴォルピ丸」であった。

27 Oct 1944

Chariots released by HMS Trenchant (Lt.Cdr. A.R. Hezlet, DSC, RN) destroy the hulks of the former Italian merchants Sumatra (6126 GRT, built 1927) and Volpi (5292 GRT, built 1931). These ships were scuttled by the Italians on 8 December 1941 and were under salvage by the Japanese).

「ちゃんと2隻目があるじゃないか!」

「そうだね」

「それなのに、なぜ一隻撃沈説が?」

「一つ気づいたのが、引き揚げ作業中という言葉だ」

「なるほど。引き揚げ作業中の船を攻撃した場合、それは撃沈したことになるのか、それとも引き揚げを妨害しただけなのか。そこは微妙になるわけだね」

「更に微妙な話を発見した」

「それはなんだい?」

「Volpiの情報は以下のページにあった」

「このページによると、Volpiは08/12/1941に自沈した(scuttled)」

「1944年にはもう沈没船としては存在しても、生きている船としては存在していないわけだね」

「ただ、どうも08/12/1941に沈んだのはVolpiだけではなく、lXXVIII OTTOBREとSUMATRAも沈んだらしい」

http://www.naval-history.net/xDKWW2-4112-39DEC01.htm

Italian steamers VOLPI (5292grt), XXVIII OTTOBRE (4888grt), and SUMATRA (4859grt) were scuttled at Puket Harbour in the Andaman Sea.

「えっ? SUMATRAも沈んでいるの?」

「どうもここは情報が錯綜しているようで、スマトラ丸(6126grt)とスマトラ(4859grt)の内容が混ざっているようだ。チャリオットの攻撃でプーケット湾で沈んだのはTomoriを1944年に改修したスマトラ丸(6126grt)で、1941年に沈んだのはスマトラ(4859grt)っぽいのだが、良く分からない」

「えー」

「そもそも、上記の引用ページでItalian merchants Sumatraと書いているが、Italian merchants(イタリア商船)だったのはたぶんスマトラ(4859grt)の方で、Tomoriはオランダ船だったようだ。微妙に説明がすっきりしない」

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