2021年07月12日
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三百字小説『古本王朝』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ブルボン王朝の末裔、アンリ99世は古本好きだった。彼が即位すると持っている古本の数で身分を決定する政策を打ち出した。

 人々はこぞって古本屋に走り、古本が市場から消えた。

 「大変です。金持ちが古本を買い占めて貧乏人は古本を買えません」

 「それは困った」

 「大変です。みんな新刊本を古書店に売って買い戻しています」

 「なんと。新刊本でも古書店から買い戻せば古本か! ただちにやめさせろ!」

 アンリ99世の「なんと」から始まる勅令はナントの勅令と呼ばれたとか呼ばれないとか。

 その結果力を付けた古書店が王朝を転覆させて王権を奪取した。首都は神保町に移転した。

 神保町王朝略して神保朝の成立である。

(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)

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