2021年12月27日
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三百字小説『おむすびゴブリン』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 野良仕事をしていたお爺さんは、そろそろ昼飯にしようと、おむすびを取り出しました。

 ところが、うっかりおむすびを落としてしまいました。

 「コロコロ転がって穴に落ちては困る」

 しかし、最近のコンビニおむすびはみんな三角なので、転がりませんでした。

 「ラッキー」

 お爺さんは、おむすびを拾って包装ビニールを取って食べてしまいました。

 それを見ていたゴブリンは「俺も腹が減った」と思いました。でも、いちばん近いコンビニは五キロは先だし、お爺さんと違って車の運転もできません。

 そこでゴブリンは閃きました。

 「そこに美味しそうなお爺さんいるじゃないか」

 おしまい。

(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦