2022年01月01日
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感想・映画「魔女見習いをさがして」

Written By: トーノZERO連絡先

「見たかったけどコロナ禍で映画館自粛して見てない映画であった」

「それで?」

「でも、ETVが放送してくれた。ありがとうETV」

「凄いね」

「しかもCMなし」

「さすがETVだね」

「さて、感想であるがまさに絶句する内容であった。おジャ魔女どれみの映画化ではあるが、見習い魔女は基本的に登場しない。まあ、ちらっとは見えるが、実在の人物としては出てこない」

「それで?」

「その代わりとして大人になった女達三人に突きつけられる冷酷な現実をこれでもかというシビアさで突きつけてくる」

「それで、どれみの映画と言えるの?」

「そもそも、おジャ魔女どれみという作品そのものが冷酷な現実を突きつける作品だったからな。魔法というのは冷酷な現実のファンタジー表現であった。そうなればもう大人の主人公に待っているのは、既にファンタジー表現にくるまれていない生の冷酷な現実でしかない。そして最終的に魔法を自分の中に発見するのだ。魔法は他者から与えられるものではない。自分の中にあるものだったのだよ」

「それで総合評価としては?」

「プリンセスチュチュの時は、バレエの知識がないので衝撃を半分ぐらいしか受けていなかったが、今回はかつてのTVシリーズを4期まで全部見ているから衝撃が直撃してしまったよ」

「泣けた?」

「本当に泣けたが、それは懐かしいからではない。1本の作品として完全に独立している」

「もっと他に何かあったんじゃない?」

「実は、おジャ魔女どれみはマジカルステージをやらないと話が終わらないものだと思うが、昔の映画の【カエル石のひみつ】はやってないんだよね。そこに肩すかし感があった。ところが、この魔女見習いをさがしては、魔法が存在しない世界で話が進行しているにも関わらず最後にマジカルステージやったんだよ。これはもう泣けた。個人的に泣けた。そこで話が最高潮に達して泣けた。だって、どう考えたって、この世界観はマジカルステージをやるような世界観ではないよ。でも、精神的に限界に達した大人の女達はやってしまったのだよ」

「ではもっと距離を置いて見ると?」

「ワンパターンのリメイクに一石を投じる凄みのある作品だったと思うよ」

「単にリメイクしたってダメだってことだね」

「物語の作りとしては、ドラゴンクエスト ユア・ストーリーに近い。あれも、ドラクエ5の映画化ではなく、実は昔ドラクエ5が好きだったファン視点の映画なのだ。でも、良く分からないいちゃもんみたいな理由で悪評が立ってしまった。魔女見習いをさがしては、その点でもっと上手くやったと思うよ。目立った悪評は見ない」

「ふむふむ」

「あとはね。これはヤマト2199は何がダメだったのかを徹底的に考察した上で構築された企画だという気もしたよ」

「なぜここでヤマト2199」

「第24話演出【佐藤順一】だからさ。時期的にも、魔女見習いをさがしての企画は2016年頃に始まったとWikiPediaに書かれているから、2014年に映画の星巡る方舟で終わったヤマト2199の反省が反映される企画としては妥当なタイミングではないかな」

「ふむふむ。時系列は合ってる」

「そういう意味で、学芸会レベルの素人芸だったヤマト2199への批判的な添削が魔女見習いをさがしてだったという捉え方も可能だろう」

「ところで感想長いぞ」

「それだけ中味が濃いってことだ」