俺のアイシャ型のメイドロボは、可愛くてけなげで愛らしかった。
二人で仲良くつつましく暮らしていた。
それから三十年。他のアイシャ型は壊れて廃棄されていく中で、俺のは元気で稼動していた。
可動機体数が減ったものの、人気が高いアイシャ型を欲しがる者はむしろ増えた。
当然、投機目的で買う者達も現れた。
彼らは俺のところにも来て言った。
「あなたのアイシャ、売るならいくら?」
売らないと言うと、彼らは俺のアイシャを盗んでいった。
翌日、アイシャは自爆して泥棒は大けが負って全員が逮捕入院させられた。アイシャは俺以外の人間に命令されることは拒否したのだ。
俺はアイシャに哀悼の意を表し、アイシャの後継機を買って帰った。
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)