未智瀬マイは狭い道のマニアだった。
彼女は全国の狭い道を走破していた。
なぜ女だてらにそんな渋い趣味を……と疑問に思う人もいるが、明らかに身体が細い女性は狭すぎる道を通るには有利だった。
だが、そんな彼女に強敵が出現した。
地震で岩が動き、狭い道がますます狭くなって人が通れなくなっていたのだ。当然、マイにも通れなかった。
それでは困るので隣に道路を新設工事中だったが、迂回ルートができるまで書類上、道路は現役だった。
ここを通らねば狭隘道理マニアではない!
未智瀬マイは、爆薬を仕掛け、岩を爆破するとその道を通った。
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)