2022年02月13日
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三百字小説『サンドイッチのミミ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 土井ミミは貧乏だったので、サンドイッチ屋からパンの耳を買って食べて暮らしていた。サンドイッチ屋は、商品から耳を切り落として売っていたので、耳は全てゴミになっていたのだ。

 ところが、あるとき、耳付きサンドイッチがブームになり、サンドイッチ屋は耳を捨てなくなった。

 ミミは主食が消えてピンチに陥った。

 止むを得ず、ミミはサンドイッチ屋に忍び込み、パンの耳だけ盗もうとした。

 だが、店主が見張っていた。

 「おまえにやる耳などない」

 「じゃあ具を」

 「もっとないわ」

 ミミがすごすごと帰ると、死神が待っていた。「あらゆる美食が食べれる天国と、パンの耳が好きなだけ食べられる天国、どっちに行きたい?」

 ミミは即答した。「耳」

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

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