2022年02月22日
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三百字小説『サムライになった村井さん』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 村井さんさんは、サムライになろうと決めた。

 そこで、剣術を習い、和装を身に付け、古い作法と文化を学んだ。ついでに、時代劇も沢山見た。

 そして、全てが完璧になると江戸城に向かった。

 「私を武士にしてください」と村井さんは叫んだ。

 中からお殿様が出てきて言った。

 「君の親は武士?」

 「違いますけど」

 「じゃあダメ」

 「どうしてですか!」

 「サムライって血筋でなるものだから。努力は意味がないの」

 村井さんはショックを受けた。

 だが村井さんはサムライになった。

 なぜかって?

 武士の株を買ったからだ。

 確かに努力は意味がなかったが金には意味があった。

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦