2022年03月07日
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三百字小説『ミスター端っ子』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 陽一はいつも仲間はずれだった。クラスで列を作るといつも端っこに立っていた。だから付いたあだ名は【ミスター端っ子】だった。

 だがある日事件が起きた。

 陽一は先端技術で表彰されたのだ。

 端は端でも先端だったのだ。

 陽一は得意になった。

 クラスの全員が陽一を尊敬した。

 陽一は天狗になった。

 そして陽一はやらかした。

 スカートめくりマシンを頼まれた彼は、うっかり間違えて女子に話してしまったのだ。

 怒りの女子全員によって、陽一のズボンが脱がされた。

 【ミスター端っ子】は【ミスター恥っ子】になった。

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

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