2022年03月22日
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三百字小説『知力対パンチ力』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 勉強の王者と、パンチのパワーに定評のあるボクシングの王者が対決することになった。

 世間はどちらが強いか予測を議論した。

 パンチ力対決では、ボクシングの王者が勝った。

 次の知力対決は勉強の王者が勝つと誰もが思っていた。ボクシングの王者は最初から勝ちを諦めたのか、ノーパンで勝負に臨んだ。

 ところが、知力対決の結果は引き分けだった。

 「なぜだ! なぜ知力で勝てない!」

 「ノーパンだからだ」

 パンチ力からパンを取るとチ力が残り、知力対チ力の対決になったのだった。これなら引き分けだ。

 「そんなトンチの結末がありか?」

 「トンチも知力のうち」

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦