Written By: 遠野秋彦
僕のパイセンは廃線マニアだった。
「ここにはかつて線路があったが、今は道路になっているのだ」
「へえ」
「オレの後輩なら廃線跡を見抜く目を鍛えないと」
僕は多くの廃線跡を見て本を読んで目を鍛えた。
その結果僕も廃線マニアになった。
「むむ。ここは廃線跡ですよ」と僕はパイセンに指摘した。
するとパイセンが言った。「眼力で鑑定するまでもなく、そこの案内板に廃線跡だと書いてある」
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)