我がミイラ取りラボラトリでは、ミイラ取りがミイラにならないように日々研究している。
その結果、絶対にミイラにならない薬を開発した。
ピラミッド内の盗掘除けの仕掛けが発動すると、仕掛けが止まった後まで時間を飛ばすのだ。
さっそく我々はピラミッド内に入ってミイラを捜した。
しかし、盗掘除けの仕掛けを発動させてしまった。薬を飲んでいるから大丈夫、と思って待つと目覚た。
ミイラにならずに切り抜けたぞ、と思うと何かおかしい。
時計を見ると一万年後だった。
部下があたりを調べて言った。
「この仕掛けは、川の水で動くようです。仕掛けが止まったのは川の水が枯れた一万年後のようです」
ミイラにならずに未来になっていた。
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)