2022年12月12日
遠野秋彦の庵小説の洞 total 461 count

三百字小説『魔女っ子マグ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 お気に入りのマグカップが割れてしまったので、お墓に埋めた。すると、その夜、マグカップの国の妖精が現れた。

 「マグカップを大切にしてくれたお礼に、あなたに変身の魔法をあげましょう。さあ、呪文を唱えるのです。テクマグマヤコン」

 「テクマグマヤコン。美少女になあれ」

 すると、僕は美少女を描いたマグカップになった。

 「あの……美少女そのものにはなれないんですか?」

 「マグカップの妖精に何を期待しているんですか? ではさようならー」

 妖精は消えてしまった。

 「あ、元に戻る呪文も教えて!」

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦