お気に入りのマグカップが割れてしまったので、お墓に埋めた。すると、その夜、マグカップの国の妖精が現れた。
「マグカップを大切にしてくれたお礼に、あなたに変身の魔法をあげましょう。さあ、呪文を唱えるのです。テクマグマヤコン」
「テクマグマヤコン。美少女になあれ」
すると、僕は美少女を描いたマグカップになった。
「あの……美少女そのものにはなれないんですか?」
「マグカップの妖精に何を期待しているんですか? ではさようならー」
妖精は消えてしまった。
「あ、元に戻る呪文も教えて!」
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)