2023年01月09日
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三百字小説『竜頭ダービー』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 竜の頭と呼ばれる丘があった。

 ある時、それが崩れて丘の上に平坦な土地ができた。

 視察に行った市長がそれを見て言った。

 「このサイズの土地があったら競馬ができるぞ。ダービーの開催だ」

 馬の飼育が盛んな地域だったので賛同者が多く出た。

 そこで、竜の頭で開催されるダービー、竜頭ダービーの開催が決まった。

 馬たちが集まってきて馬券も販売されて地域は盛り上がった。近隣の地域からも娯楽に飢えた者達が集まってきて大盛り上がりだった。

 いよいよ出走だ。

 しかし、競走馬としての訓練も受けていない地元の名馬たちは、コースに沿って走らず、そのあたりをウロウロするばかりで全く盛り上がらなかった。

 竜頭ダービーは竜頭蛇尾で終わった。

(遠野秋彦・作 ©2023 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦