大ポルノ作家の江地大介が僕に連絡してきた。実は彼の小説は全部ゴーストライターが書いている。今のゴーストライターは僕だ。
「藤原鎌足の秘蜜の滴りというタイトルで1作書いてくれ」と彼は言った。「適当にカードにキーワードを書いて投げて企画を決めたら【藤原鎌足】と【秘蜜の滴り】だったの。編集部も乗り気で企画も通ってしまったの」
僕はしょうがないので、藤原鎌足が実は美少女でエッチで下半身の力だけでのし上がっていく小説を書いた。クライマックスは大化の改新だ。
書き上げた原稿を送るとすぐ返事が来た。
「至急修正を頼む。歴史ものは難しすぎるって。現代のものにして」
大化の改新は、大改変に化けた。
(遠野秋彦・作 ©2023 TOHNO, Akihiko)