2003年06月26日
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言葉の意味が分からない読者のための解説。「近近近遠、夾叉」とは何か?

Written By: トーノZERO連絡先

 自分の感想を書いてから、これは多くの読者にとって不親切かも知れないと思うようになりました。感想文を読んでも、何を面白がっているのかきちんと説明をしていないからです。ですから、もしかしたら、少し解説を行う方が良いのではないかと。

 もっとも資料を引かないで書いているので、当てになるかどうかは分かりません。とはいえ、こんなものでも少しは参考になるかも知れないので、「ディスカバード」でのシルヴァーナの砲戦について、少し当てにならない解説をしましょう。

 まず、シルヴァーナの主砲について。シルヴァーナの主砲は、艦の中心線上になく、左右に分かれて配置されています。ここで撃っているのは左舷(ひだりげん)つまり左側です。左舷は通常「さげん」と読みますが、ここでは「ひだりげん」と呼んでいます。これは、はっきり分かりませんが、旧日本海軍の呼び方かも知れません。

 次に、アレックスが「仰角(ぎょうかく)35」と命令しているのは、砲身を水平面から上の方に向けて35度の角度を付けて上に向けることを示していると思われます。ちなみに、下に向けることは俯角(ふかく)と言います。

 「目標、敵1番艦」というのは、説明するまでもないことでしょうが、先頭の艦を目標にすることを意味していると思われます。通常、目標は分散させません。砲弾はそう簡単に命中することはなく、確率的に命中を目指すため、できるだけ多くの砲を同じ目標に対して同時に撃った方が有利であるためです。ただ、複数の艦が砲撃する際は、分散する方が有利な場合もあります。ここでは、シルヴァーナはたった1隻なので、目標を分散させる意味はないと言えます。

 次に、アレックスは「初弾観測2段撃ち方用意」と命令を下しています。これは、照準が正しいかどうかを見極め、ずれていれば修正するための射撃の命令です。初弾は最初に放つ砲弾。観測は、それがどこに落ちるかを見るための射撃であることを意味します。2段撃ち方とは、おそらく、2つの砲を持つ砲塔(連装砲塔と言います)が、片側ずつ交互に発砲することを意味します。シルヴァーナは片舷に連装砲塔を4つ持っています。これを撃って、照準が正しいか見るわけですが、全ての砲で撃つことは無駄です。そこで、片方ずつ発砲することで、少ない砲弾で照準を詰めていこう、というわけです。

 それに続いて、アレックスの発砲命令が出ます。それによって、最初に1つの砲塔が2発放って、それに続いて、残りの3つの砲塔が1発ずつ撃っています。この描写はちょっと分からないところがあります。もしかしたら、最初に飛んでいく砲弾は、本当は1つなのかもしれません。

 そのあと、「弾着(だんちゃーく)」という報告があるのは、砲弾が敵に届いたことを意味します。しかし、それが命中しているかどうかは別の話です。

 それに続いて、「近近近遠(きんきんきんえん)、夾叉(きょうさ)」という報告があります。これは、発射した4発の砲弾が、目標に対して、より近いものが3つ、より遠いものが1つであったことを意味します。様々な理由により、発射された砲弾は同じ場所には落ちないで、ある範囲内に分散して落下します。この範囲を散布界といいます。

 そして、発射した砲弾の弾着範囲内に目標がある状態を夾叉と言います。通常は、最初の砲撃から夾叉の状態になることはなく、何回かの砲撃を繰り返して修正しながらこの状態を得ます。その点で、シルヴァーナの砲撃能力は極めて優れていると思われます。

 夾叉の状態になれば、そのまま砲撃を続ければ、いつかは命中弾が出ることが期待できることになります。

 そのあと、アレックスは「全門斉射(ぜんもんせいしゃ)」を命令します。全門とは全ての砲を意味します。砲は、1門、2門と数え、門は個々の砲を意味します。斉射は一斉射撃と思えば良いでしょう。つまり、この命令は左舷にある全ての主砲を使って砲撃しろ、という意味になります。それまでは、同時に砲塔の片方の砲しか使っていなかったのに対して、今度は全てを使います。これは命中する確率を高めるための手順です。砲弾が落下する範囲内に目標があるなら、その範囲内に出来るだけ多くの砲弾を送り込むことが、命中弾を得るために必要な手順というわけです。

 しかし、シルヴァーナが本当に狙ったのは、相手にダメージを与える命中弾ではなく、目くらましだったわけですね。

 というわけで、当てにならない解説でした。と~のはミリタリーマニアではないから、当てにしちゃ駄目ですよ。

 最後に1つだけ付け加えるなら、こんな言葉使いは、この作品の価値のほんの僅かな一部に過ぎません。些細なことだと言っても良いと思います。登場人物達の表情の描き方の方が、遙かに大きな価値があると思います。ですが、些細なところをおろそかにしないことも、作品を作り上げる時には重要なことです。たとえ言葉の意味が分からなくても、それがもたらす緊張感は視聴者に届くでしょう。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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