今回のROD。
こんな凄いアニメが見られるとは素晴らしいですね。絶対に、これは毎週放送する深夜アニメの品質ではないです。それどころか、OVAでもこれ以下は珍しくないでしょう。劇場用の長編アニメですら、この域に達していないのは少なくない感じがします。というよりも、アニメ界が生み出し得る通常のアニメの枠組みを逸脱している感がありますね。この作品は、アニメではあるものの、アニメとして勝負をしてない感じがあります。目標はもっと別の高いところにあるのかもしれません。
9月までやっていたLAST EXILEの影響なのか、生半可な企画のアニメをやっても負けるだけという感じで、どの番組も企画に力のある勝負球を投げてきている感はあるのですが、その力と比較して、水準が違う感じがします。(その水準の差を、普通のアニメオタク層が分かるのか、という問題は横に置くとして)
それはさておき。
まずは前回無かったOP。
凄い映像センスですね。文字の描き方のセンスも凄い。ボーカル抜きの音楽がまた良いです。
本編も凄い。
押入の中に張ってある紙。ガランとしたアパートの室内の描写の「らしさ」の良さ。
作家先生の室内の描写も、それらしいですね。
「本は我慢」という三姉妹。高枝切りバサミは買ったというのに。
着心地の悪い紙の服。
夜に作家先生の家に行く三姉妹。
「さもなくば死」の指の演技の見事さ。
描き込まれたワープロ「三太郎」の画面。
作家の仕事場と書けない作家の、それらしい描き込み。
テレビを壊した後、「おまえら、さっさと寝る」という作家先生。ここで「出て行け」と言わないで、「寝る」というところが、人間性の奥行きですね。
「みんなは一人のせいで、一人はみんなのせいで」「ああ、後ろ向き」
生きていくために居座りましょう、という三姉妹の力の無さの描き方の見事さ。
紙姉妹探偵、という実に面白い名前。
スプーン上の砂糖の演技。これは発想も見事、見せ方も見事。本来あるべきストレートな正しいアニメのあり方です。
「ああ、チーズケーキください」という演技も素晴らしい。一見、関係ないことをやっているようで、それが間接的な人物描写になっています。
しっかり描き込まれた本屋。アニメで、こんなにそれらしい本屋を見たことがあるか、ちょっと考えてしまいます。作家名前の仕切があるのに、彼女の本は1冊もないわびしい描写。
掃除して、何もかも整理してしまった次女。
お色気踊りを見せる勘違いしている感じの長女。立て替えておきました、と領収書を差し出す態度も見事。足蹴にする作家のストレートな感情描写も爽快。
紙で飛んでいく次女と、それを見ている子供達。
それでも、しっかり全部食べる作家。
さりげなく、指にいくつも絆創膏を貼っている長女。それが、さりげなく描かれる演出の妙。
誰もいないわびしい部屋。
「もうしばらく騙されてやるから、部屋にもどんなさい」という作家の言葉。この台詞が言葉とは裏腹に暖かいですね。
「ねねね姉様」と呼ぶこと、と言われて言えない末っ子。
いつまでも騒いでいると、おっちゃんたちに迷惑でしょう、とホームレスの存在が示唆されている公園。
一番最後に、ピシャッとテレビの映像を切る小気味良さ。
と~のは、書けないつらさにもだえる作家先生を応援しています。
ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。