2003年12月04日
トーノZEROアニメ感想キャプテン ハーロック total 2999 count

いいか、坊や。戦争など馬鹿がすることだ。もし君が何かと戦わなくてはならなくなったら、一人で戦え

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、トーノZEROです。

 2003年11月26日のハーロックの感想。

 松本アニメのブームの絶頂期と言えるのはおそらくキャプテン ハーロックから銀河鉄道999までの時期ではないかと思います。

 そのキャプテン ハーロックがはたして満足のいくアニメであったか、というのは議論の余地があるところだと思います。むしろ、松本作品らしいテイストを発揮したアニメとは、絶頂期よりあと、多くのアニメファンが松本アニメを見放した後に作られた無限軌道SSXの第1話であるとか、劇場版「我が青春のアルカディア」などであるように思います。

 個人的には、やはり「我が青春のアルカディア」がいちばん泣かせてくれるアニメであるという感想を持っています。占領軍の兵士相手に酒場の喧嘩、なんていうのはとても泣かせます。しかも、敗戦したというのに、地下に立派な戦艦が隠されていて、占領軍の傀儡政権に反旗を翻し、自ら海賊として旅立つ気持ちよさ。敗者の意地と未来へのロマン。おそらく、戦争を知らない子供達というのにすら生まれるのが遅すぎて、敗戦のムードも知らない大多数のアニメファンから支持されなかったドラマでしょう。残念ながら、幼少期に「決断」を見て日本の敗北を刷り込まれたトーノZEROには、とても泣ける良いアニメに見えてしまいましたが。

 そのような過去を踏まえた上で、ハーロックの新作アニメが作られるという事態をどう受け止めればよいのか。これは悩みどころでした。特に、さっぱりストーリーが進まないヤマト新作のコミックを描く松本氏と、かなり忘れたい思い出となっているいくつかのアニメを監督しているりんたろう氏がやるとなれば、不安もひとしおです。

 最初は地上波VHFオンリーのトーノZEROには関わりのないことかと思いきや。

 地上波で放送されるので、少し見始めました。

 見てみると、少なくとも、危惧された最悪の状況ではないことが分かりました。むしろ、シーンによってはかなり凄いムードを上手く作り出しているように感じられます。問題は作品全体として、どうなのかということですが、それはどうも判断に苦しむところがあります。やっぱりダメじゃないかと思うところもあるし、自信を持ってお勧めもできないし、ぜひ感想を書きたいという気持ちにもなっていませんでした。それゆえに、感想は書いてきませんでした。

 しかし、このエピソードでは、1つだけ、ぜひ書き留めておきたい台詞を見つけました。

 戦いに負け、宇宙を漂ったイリタ長官は宇宙を行くトラックに拾われます。

 このトラックには、運転手の頼もしいおばちゃんと小さな男の子が乗っています。

 この子供が、イリタ長官に言うのです。

 「おじちゃん、戦争をしていたんでしょ。格好よいなあ」

 それに答えるイリタ長官の言葉が素晴らしい。

 「いいか、坊や。戦争など馬鹿がすることだ。もし君が何かと戦わなくてはならなくなったら、一人で戦え」

 そして、その言葉を横で聞いているおばちゃんの表情がまた良いのです。しっかり、このイリタ長官の言葉を受け止めて、よくぞ子供に言ってくれたという感じなのか、それとも、立派な男を拾ったものだと思ったのか。心情は分かりませんが良い表情をしてくれます。

 少なくとも、この台詞を聞けただけで、このハーロックには存在価値があったと判断することにしました。

 まあ、毎回感想を書くかどうかは別問題ですが。

 あと、EDの歌が良いですね。

今回の一言 §

 ちょっとネットサーフィンしたのですが、このアニメの正式タイトルが良く分かりません。おそらく、1970年代のTVアニメのものは「宇宙海賊キャプテン ハーロック」であり、今回のこれは「キャプテン ハーロック」ではないかと推測します。とりあえず、ここでは、「キャプテン ハーロック」というキーワードはこれを示し、1970年代のテレビアニメのハーロックは示さないという前提で書いています。