2004年02月16日
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地獄と化した私の2月、その行き着く先は過労ダウンか新境地への飛躍か!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 既にどこかで書いている気もしますが、この2月は地獄です。

 何しろ、様々な用事が集中して迫ってくるのです。私に連絡してる個々の人達は、けして私を集中的にいじめよう、などとは思っていません。しかし、偶然のいたずらが、それらを特定の時期に集中させ、私のスケジュールを破綻させます。

 このような事態はたまにあります。

切り抜けてみせる方法はあるが…… §

 こういう事態に対処する最も基本的な方法は、用事を断るということです。

 原稿の依頼を断ったり、飲み会の誘いを断ったり、やることはいろいろあります。読むことが負担になるメーリングリストを抜けたり、インターネットの巡回先を減らす、というのもありです。それを行わねば過労になるリスクを負います。

 その点で、自分に掛かる負荷に余裕を持たせるために、適切な水準以上の用事を切ることが、正しい責任ある社会人の在り方だと思います。

 それは行うべきものであって、出来ないことは立派な社会人として失格であると言っても良いと思います。あえて、ここでそう書くのは、自分でそれを失敗した経験があるためです。うっかり一時期にスケジュールを集中させて、死ぬ思いになった強い反省から、あえてそう書きます。

でもね、今はちょっと違っていたり §

 でも、この2月はそのような立派な社会人としての戦略を取っていません。

 まあ、いろいろな負担が限界を超えないように、いろいろ配慮をしているのは事実です。お断りした原稿もあります。引き受けても落とす可能性が高いから、(あるいは落とさなければ他の仕事に差し障るので)、引き受けるのは無責任というものは断っています。

 しかし、それを含めて考えても、2月の負荷は過大です。原稿を断ってすら負荷が過大というのは、この私の2月の異常さを示しているという話もありますが。それはさておき。

 この2月に私が自らに課したのは、行き着く先まで行ってみようということです。

 特に、何かの具体的な目標があって、そこに行こうと思ったわけではありません。

 ただ、行き着く先まで行ってみようと。

 そのために、普通なら行かない場所に行く用事も多数入っています。普通ならやらないことをやる用事も入っています。

 どうも、一昨日あたりからその成果が出てきたような気がしてきました。

 ある本を読んでいて、それを契機に、自分の心の問題点、わだかまりのようなものが見えてきたわけです。それを、ひしひしと自分のことと考えられるのは、やはり限界領域を生きている私の2月ならではと言えます。もっと余裕のある状況なら、何となく意識の表面を流れてすぐに忘れ去ったことでしょう。

キーワードは「ライナスの毛布」 §

 キーワードは「ライナスの毛布」です。ライナスの毛布とは、スヌーピーのマンガに出てくるライナスという少年が持っている毛布です。それが転じて、手放すことができない依存する何かを意味する……のだと思います。極めて大ざっぱに要約すれば。

 当然、本当の大人であれば、そんなものは持っていないはずです。

 しかし、大人でも形のない何かを「ライナスの毛布」として持っているケースが考えられるようです。

 では、私にとっての「ライナスの毛布」とは何か?

 それはパソコンやネットワークなのかもしれません。

 念のために書くと、私はパソコンやネットワーク無しでは生きられないほどの依存症ではありません。時に、それらが無いことが、「せいせいする」と感じることもあります。

 しかし、それらが存在することに、私という人格がどこか依存していた要素があるかもしれません。

 そのような、本当の大人にあるまじき自らの心理状況を認めることによって、自分の抱え込んでいるジレンマがすっきりと見えてきました。

 つまり、パソコンやネットワークというものが見通せなくなっている状況に苛立つ感覚の源泉がどこにあるかが見えてきたわけですね。念のために補足すると、これらは見通せないのが当たり前。ずっと昔から見通せない部分があったのが事実です。それでも、全体の流れがおおまかに見えているという印象があったわけです。しかし、今はもうありません。

 見えなくなったのは業界の流れという部分もあるし、極めて矮小な部分で言えば、WindowsというOSの構造が見えなくなってきたという部分もあります。たとえば、IISの管理はWMIかと思ったらADSIでやるという事実に気付いて驚かされたりすると、見えなくなっているという強い印象を受けます。もちろん、今になって急に見えなくなったわけではなく、ずいぶん前から見えなかったのが事実です。しかし、最近になって、その印象を強めていたわけです。

 そのような印象は、ある意味で当然あって当たり前のことです。対象の情報量が多いわけですから、それを把握できるはずがありません。

 問題は、そのような印象になぜ苛立つのか、ということです。

 その理由として、自分が心理的に依存する「ライナスの毛布」、けして自分を裏切らないはずの「ライナスの毛布」が裏切り始めたかのように思えたから、という解釈が可能であれば、すっきりと納得ができます。

 つまり、私はパソコンやネットワークが存在するということに、少しばかり強く依存しすぎていた、というわけです。

 そうと分かれば、逆に怖いことはありません。

 パソコンやネットワーク、特にパソコンですね。それに強く期待しすぎないことを自戒するだけで、何かすっきりと展望が見えてきたような気がします。明らかに、自分で妥当だと感じる水準以上に、過度に入れ込みすぎていたと気付けば、修正は可能です。何しろ、自分で妥当だと思う水準からずれていたわけですから。自分の思う水準に修正することができないわけがありません。

人は自分の力では変われない。されど…… §

 あえて極論を書くならば。

 人は自分の力では変われません。自分で変わりたいと思うだけでは変われません。人が変わって行くには、外部の強制的な力が必要です。

 その点で、一人で閉じこもっている限り、変わることはできないというのは1つの真理だと思います。

 しかし、いつもの自分を維持できない状況に自ら追い込むことによって、変わるためのきっかけを掴む、ということは可能かも知れません。

 つまり、結果として、この私の2月において、行き着くところまで行ってみようと決めたことは、そういうことだったのかもしれません。

もっとも他人から違って見えるかは分かりません…… §

 こうして、これまで持ち得なかった新しい境地を私は手に入れたように感じられます。感じただけで、実は錯覚に過ぎないという可能性も大いにあり得ますが、錯覚でも本人が真実であると信じれば、その人の真実になる可能性もあります。

 しかし、それが他人の目から見てどうかというのは、また別の話ですね。ぜんぜん変わったように見えない、という結果になるかもしれません。

 ちなみに、遠野秋彦さんが「ライナスの毛布」を面白がって、これで1本短編小説を書くそうです。

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