時代アニメ論: SAMURAI DEEPER KYO

概要 §

　コミックスのアニメ化ということらしいです。

　関ヶ原の戦いで鬼目の狂という凶悪な男は死んだと思われていたものの、実は別の男の中で生きていたことが分かります。

　そして、狂の出生の秘密であるとか、正しい歴史を守る役目を持った男であるとか、身分を隠して冒険している家康の子供であるとか、いろいろなドラマの挙げ句、正しい歴史は否定され、あり得ない江戸城攻めのシーンで物語は終わります。

ここが見どころだ! §

　実に惜しいことに、途中から時代アニメである必然性をどんどん失ってしまい、単なる超人戦闘アニメになってしまいました。

　しかし、序盤のドラマは、かなり良かったと思います。

　たとえば、夜の闇の描写は、行燈など、その時代の照明から生み出されるであろう暗さをきちんと描こうとした部分があるように思われます。これは、かなり印象的かつ革新的な描写のように感じられました。

　しかし、一方で、 鬼目の狂という人間離れした強さを持つ人物を初めとする「超人」達を登場させたり、関ヶ原の戦いに宇宙から隕石を落としてみたり、ヒロインには原始的な多銃身の連発銃を持たせてみたり、リアルではない部分も多く見られます。

　そのあたり、時代アニメの特徴と考える以下の条件を見る感じがします。

• 歴史的なリアリティをストイックに追求する部分がある
• 現実の歴史からの痛烈に離反する部分がある