2004年08月24日
トーノZEROアニメ感想陸奥圓明流外伝 修羅の刻 total 3003 count

勘違いで十把一絡げに倒されてしまう哀れな新撰組隊士達!?

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日の修羅の刻の感想。

サブタイトル §

第21話 「我が友、坂本龍馬」

あらすじ §

 出海は、半次郎に勝ちます。しかし、とどめを刺す前に、異変を察知して近江屋に戻ります。

 近江屋は既に襲撃を受けたあとで、坂本と中岡は血まみれで倒れていました。

 坂本は出海の腕の中で息絶えます。

 出海は、新撰組の仕業と思い、屯所に殴り込みます。

 しかし、土方は新撰組の知らないことだと言います。

 出海は、近江屋に尋ねてきた元新撰組の伊東という男を思い出します。

感想 §

 私が時代アニメに目覚めた映画「浮浪雲」でも、龍馬暗殺は見せ場でした。それを思うと、またこの事件を時代アニメの中で見られたことにちょっとした感慨があります。映画「浮浪雲」では非常に印象的なビジュアルで斬られる瞬間を描いていますが、今回の修羅ではそれを描いていません。そのかわり、襲撃後の異様な雰囲気が見せ場として存在します。特に、色遣いが特筆すべきですね。襲撃された室内だけが赤いのです。外は青いのに、その室内は赤いのです。もちろん、血の赤が、部屋を赤く見せているのだという解釈もるでしょう。しかし、それ以上にその部屋の異様な雰囲気を、この赤が演出していることは間違いないと思います。

 そして、新撰組の屯所に走る出海の長い回想。

 屯所に来ると、自分は喋ることなく、新撰組の隊士を倒しながら出海は進みます。おまえ達が坂本をやったのか、という問いかけもせずに、何人も倒してしまいます。何人も倒した後で、やっと喋り始めます。出海も残酷なことをすると言えますが、これが出海の心を示す演出ですね。

 そして、出てきた土方も凄いですね。話を聞いて、新撰組は知らぬと言ってピクリとも動かない土方。それを前に殴れない出海。最初に江戸で出会ったときは、出海の方が遙かに格上だったと思います。しかし、新撰組という組織の副長を務め、時代の荒波の中を泳ぎ切って来た土方に対して、甘っちょろい龍馬の用心棒を務めてきただけの出海は、今や土方の堂々とした態度に負けているとすら言えますね。

 そして思い出される裏切り者、伊東甲子太郎。まさに襲うとしたら彼しかいないことになります。史実では、彼は新撰組に殺されているようですが、作品中では出海がやるという宣言をしていますね。はたしてどうなることか。

 もう1つ。ここで出海にとどめを刺されず命拾いをした半次郎。これのおかげで、彼は西南戦争に参加することができた、と言うわけですね。

今回の一言 §

 最強の陸奥がボディガードに付いた龍馬。この状況で、はたして龍馬暗殺などが可能なのか。そこが1つの見せ場になると言うことは予測できていました。まさか、龍馬が死なない歴史を描く架空戦記のような話になるとも思えませんので。

 そして、それに対する回答が、まさに今回の内容でした。出海は一度に1つの場所にしかいられないわけです。出海が、龍馬を狙う刺客を倒しに出かけている間に、別の刺客が襲ってしまえば良いことになります。

 ある意味で、これはマジンガーZでついにドクターヘルがなしえなかった快挙であると言えます。マジンガーZが最強であるのは、マジンガーZで対応可能な相手しか送り込まなかったドクターヘルの失策によるものでしかありません。出海=マジンガーZの限界を描いたという点で、非常に革新的な部分があるような気もしますが、そのような革新性を描いた作品が、過去を舞台にした歴史アニメであるというのは実に痛快な皮肉です。

 そして、今回のことで、陸奥の最強伝説は崩れたことになります。いくら陸奥が強かろうと、現場にいなければ無力。