3年前に買った本を今頃読み終わりました。
なぜ、こんなに長期間読まずに放置されたのか?
それは、取っつきにくさを感じたからです。冒頭部、数ページを読んで、分かりやすい面白さを感じられなかったから。
ではなぜ今頃になって読み始めたのか?
それは、鞄に入れっぱなしの本が読了されたものの、読みかけの本はハードカバーで重かったため、手近にあった新書サイズの本書を鞄に入れたからです。
本書はハードカバーで既に出版されていたので、それを含める4年前の本と言うことになります。そのあとで、私が買った新書サイズのものが出ていますが、調べてみると、その後に文庫が2冊。そして、コミック版まで出ているようですね。
さて、今回はちゃんと読んでみようと思って読み始めましたが。
なるほど、これは取っつきにくい話だと思いました。
現代の日本ではない場所を舞台に、現代にはあり得ないテクノロジーを前提にした物語。それを誠実に描けば、取っつきにくくなるのは当然の帰結です。しかも殺人事件が発生するのに、事件発生するまでが長い。これを読んで連想したのは、アシモフのSFミステリーです。はだかの太陽あたりに感触が近い雰囲気ですね。もちろん、それの盗作であると言っているわけではなく、内容的には全く異なるものです。
内容は詳しく書きませんが、特に良かったのは、3点。
まず、女性達の魅力。女王、王女、リン・バウ。いずれも、何らかのそそられる魅力を発揮する良いキャラですね。
それから、最後のシーンで銃を撃つサラ・フォトラ。犯罪があり得ないはずの世界で起こる殺人。皮肉で面白いですね。
最後は、主人公の身体と、いつも付き従うロボットの関係。読みながら途中で、実はロボットが主人で主人公がペットのような存在だと面白いかもしれないと思いましたが、もっとひねった面白い構造でしたね。性別に関する描写も上手くひっくり返してあって、面白いですね。
さて、続編らいし「迷宮百年の睡魔」も新書で出たばかりの時に買い込んであるので、これも読みたいと思います。