2004年09月29日
トーノZEROアニメ感想遊戯王デュエルモンスターズ total 7226 count

最終回にあたって(海馬のごとく自信たっぷりに)断言しよう、この作品を愛していたと!

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日の遊戯王の感想。

サブタイトル §

最終回 「光の中へ完結する物語」

あらすじ §

 遊戯とアテムのデュエルは続きます。

 ブラックマジシャンに加え、ブラックマジシャンガールまで召喚したアテムに、遊戯は絶対不利に見えました。

 しかし、遊技はアテムの使うカードの先を読んであらかじめカードの効力を封印したことにより、アテムは敗北を認め、遊戯は勝利します。

 そして、アテムは冥界の扉の奥に去っていきます。

 冥界の石版は崩壊し、千年アイテムも地下に飲み込まれていきます。

感想 §

 遊戯が封印したカードは死者蘇生。それは、アテムが神を復活させるということを読んで仕掛けたものであると同時に、死者の魂は現世に止まってはならない、というメッセージ。なんて泣かせる話でしょうか。この展開では、ゲームの進行の整合性、人間と人間のドラマ、そして、象徴的な意味合いの3つの階層の全てが1つの出来事によって同時並行的に語られます。これほど見事なドラマ構成は、滅多に見られるものではないと思います。まさに、これまで続いた遊戯王という良質のアニメ作品の分厚い蓄積の上に成立する素晴らしき成果と言えると思います。

 勝利した遊戯が流す涙も良いですね。ずっと目標だったアテムに勝つことで、逆に泣いてしまう遊戯。単なるうれし涙ではありません。この感情の昂ぶり、この気持ちが素晴らしいですね。

 最終回の最大の見せ場に、ブラックマジシャンガール登場。さすが最終回、特に可愛く描かれていますね。出番は少ないものの、その方面もしっかりと楽しませてくれました。

 扉の向こうに去るアテム。そこには、かつての神官達やマナが待っていました。冥界に行ったとしても、けしてアテムは孤独ではないわけですね。特に、マナが闇のゲームにいた頃のままの姿でいるのは、アテムからみてかなりの魅力でしょう。杏子を失っても、若くて元気なマナがいれば寂しいなどと言うことはないでしょう。それを考えると、別れの悲しみも和らぎますね。

 EDは、いつもの歌ではありますが、映像が特製。その後の彼ら、という感じの映像ですね。特に良かったのは、遊戯に抱きつくレベッカを見て嫉妬する杏子。杏子もアテムを引きずることなく、やっていけそうですね。

今回の名台詞 §

杏子「まだ意味が分からないの」

城之内「杏子、分からなくていいんだよ。分からないから頭の中に刻み込むんだ」

 そう。何もかも分かる必要などないし、そもそも人間ごときが何もかも分かることなどあり得ません。しかし、分からないからと言って捨てるのではなく、それを受け入れ、頭の中に刻み込むことが重要と言うことですね。とても良い言葉を最後に聞けました。

シリーズ全体を振り返って §

 ともかく良かった。

 良い作品だったと思います。

 ゲームを題材にしたアニメ作品は他にもありますが、特にこの作品は魅力があったように思います。それは、題材、脚本、映像表現、音楽など、全ての方向に渡って充実することによって実現したことだと思います。特に、(たまに頼りないことはあったにせよ)脚本の充実と、印象的な音楽、荒木伸吾さんによるキャラクター表現は非常に印象深いところがありますね。

 もちろん、あからさまにドラマの進行の都合としか思えない、あまりに都合の良すぎるカードが続々出てきたり、特定のカードを引き当てたり、ゲームとしてはあまりに無理のある描写も多かったと思います。しかし、それはそれで構わないと思います。デュエルモンスターズは実際にプレイすることができるので、ゲームのリアリティが欲しければプレイすれば良いのです。そこで、なぜアニメ作品が作られ、それを見る意味があるのかと言えば、一種の理想化されたゲームシーンを、それを取り巻く人間のドラマとして見ることにあるでしょう。人間のドラマを突き詰めていくことにより、ゲームが非現実的になっていくことは、何ら問題はないと思います。そこにあるゲームは、ゲームを描くためのゲームではないのです。

 とはいえ、ゲームの描き方のある種の誠実性には、とても好感の持てるところがあります。特に、最後までカードの効果をいちいちプレイヤーが説明しながらデュエルするスタイルは、分かりやすさという点で非常に有効だったと思います。

 ともかく、長くなるのでこれで終わりにしましょう。

 結論はただ1つ。

 終わったら泣けました。良い作品です。