2005年04月27日
トーノZEROアニメ感想NARUTOtotal 4012 count

サスケを大蛇丸に渡したくないというラブラブ(?)な理由で戦うナルト君!?

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日のNARUTOの感想。

サブタイトル §

第132話 「親友(とも)よ!」

あらすじ §

 カカシは、本来与えられるはずの任務を棚上げにして、サスケとナルトを追います。

 サクラは心配そうにそれを見送ります。

 ナルトとサスケは、千鳥と螺旋丸をぶつけ合いますが、相打ちになります。

 ナルトは、サスケが本当に友かどうか分からなくなります。しかし、大蛇丸には絶対にサスケを渡さない、という気持ちになります。そして、九尾のチャクラに満たされ、傷もあっという間に治癒していきます。

 その様子を、サスケは呆然と見ます。

感想 §

 アニメブーム終末論として書いた一連の文書の話題に沿って書くとすれば。

 たとえば、アニメを「大人指向」「子供指向」に分け、「子供指向」を以下のような条件であるとします。

  • 子供が努力することなく特権的なヒーローの座に着く
  • 日本や地球を巻き込んだ戦いであるにもかかわらず、極少人数の私的な闘争に収束する
  • 私的な闘争に収束する結果、社会や組織の存在感やリアリティが大きく後退する

 実は、最近の大人のオタク向けアニメの多くは、この条件にピッタリと適合するものが多い、つまり大人向けの「子供指向的」な作品が急速に増えているというようなことを感じているわけですが。

 では、このNARUTOは、多くの子供達に支持されている以上、やはり「子供指向的」と言えるのか、というと意外にもそうではありません。

 まず、「子供が努力することなく特権的なヒーローの座に着く」という条件は全く満たされていません。我らがナルト君は、木の葉の里において、なんら特権的な存在ではなく、ヒーローであるとすら見なされていません。むしろ、特権的なヒーローという呼び名に相応しいのはサスケの方ですが、それとて無条件に特権的とは言い難いところがあります。つまり、サスケであろうとも、しょせんは子供であり、大人の優秀な忍者であるカカシなどからはいいようにあしらわれてしまいます。

 そして、「日本や地球を巻き込んだ戦いであるにもかかわらず、極少人数の私的な闘争に収束する」という条件も満たしません。そもそも、ナルト達の戦いの多くは、依頼された任務であったり、私怨から来る大蛇丸の襲撃に対処することであったり、あるいは、試験であったりします。宇宙人や魔界の大王から世界を救うような戦いになりません。最大規模の戦いは、大蛇丸の木の葉崩しですが、この事件にはとても多くの木の葉の里の者達が関わり、その多くは主人公のナルトと直接の関わりを持ちません。里という一種の国家システムの戦いがきちんと描かれ、ナルトの居場所はその一角でしかありません。つまり、極少人数の戦いに収束しません。

 更に、「私的な闘争に収束する結果、社会や組織の存在感やリアリティが大きく後退する」という条件も全く満たしません。そもそも私的な闘争に収束などしません。つまり、大蛇丸の私怨から出た戦いであっても、動員される里の者達から見れば、それは公的な意味を持つ戦いになります。そして、この作品では社会や組織の存在感が、随所に極めて濃厚に描かれています。

 まさに、それがよく出ているのが、今回のカカシの行動と言えますね。

 カカシとツナデの会話は、たった二人きりの会話ではありますが、濃厚に組織の存在感を意識させるものです。ツナデは組織のトップとしてなし得ることを全て行っています。けして、ツナデ自身の個人的な気分や思い入れで発言はしていません。一方で、カカシの方も、明らかにツナデの決定を不服としながらも、けして組織への反逆者にはなろうとしません。自らナルトとサスケのところ行こうとしますが、ツナデから与えられた命令も、きちんと実行することを明言しています。

 そして、心配するサクラを背中に立った時、カカシは組織よりも大きな社会というものを背負っているように見えます。サクラがサスケとナルトを心配している心情は、同僚だからではなくとても個人的なものです。それゆえに、それを背負うカカシは、組織よりも大きな社会的な「思い」をも背負わねばなりません。もちろん、サクラの「思い」だけでなく、自分自身の「思い」の背負っています。

 このようなシーンを見ると、実はNARUTOという作品が、「子供指向」ではないことが分かります。

 つまり、大人の男性のオタクを相手に作られるアニメのかなりの割合が「子供指向」に偏りつつある時代であるにも関わらず、子供相手に作られるアニメの方が「大人指向」であるという妙なねじれ、逆転現象が発生していると言えます。

 むろん、「大人指向」の作品の方が、より大きな世界観を持ち、より複雑な人間の内面を描くという意味で、子供に見せる価値があるものです。

 こういう、良いアニメを見ることができる今時の子供達は幸せだと思います。

今回の一言 §

 それにしても、ナルトが戦う理由が、「サスケを大蛇丸に渡したくない」というのは、妙に嫉妬心の混じった擬似恋愛的な展開ですね。おそらく、サクラやカカシがいる場所では起こりえない展開でしょう。

Facebook

キーワード【 トーノZEROアニメ感想NARUTO
【NARUTO】の次のコンテンツ
2005年
05月
04日
何だ、この動きのゴージャスさは、TVアニメのレベルじゃない!!
3days 0 count
total 4253 count
【NARUTO】の前のコンテンツ
2005年
04月
20日
ついに回想編が終わったのか、うちは一族皆殺し事件再び!?
3days 0 count
total 3643 count

このコンテンツを書いたトーノZEROへメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、トーノZEROに対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実にトーノZEROへメッセージを伝達するものではなく、また、確実にトーノZEROよりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

https://mag.autumn.org/tb.aspx/20050427203207
サイトの表紙【NARUTO】の表紙【NARUTO】のコンテンツ全リスト 【NARUTO】の入手全リスト 【NARUTO】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: トーノZERO連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.36 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2021 Pie Dey.Co.,Ltd.