魔法先生ネギま! 10
紀伊國屋書店

2005年05月21日
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魔法先生ネギま! 10 赤松健 講談社

Written By: 川俣 晶連絡先

表紙 §

 まず、表紙かっこいい!

 4人のキャラクターが一緒に同じ方向に走っている途中で、こちらに気付いて見ている、という感じに構図ですが、傾けた体、振り上げた足、振っている両腕などが、4人で1つの方向性を綺麗に作っていますね。

 それはカバーの下の原画を見ると、もっと良く見えます。

 もう1つ、この表紙でどきっとするのは、右上の飛行船にきちんと読める細かい文字が入っているところです。これが、絵の距離感、空間としての存在感を大きく強調しているようで、凄く良いですね。おそらく、手描きではできない表現でしょう。

扉絵 §

 87時間目の扉絵が凄く良いですね。

 魔女風の夕映がほうきに乗って飛んでいる絵ですが、描き込まれたランプと、実にさりげなく小さく見えているパンツが、とても品のある味を出していると思います。

 特に、エロくならないで女の子の下着を見せるセンスは秀逸ですね。男から見た性欲とは違う、別の価値観を創造しているようなところがあります。

内容 §

 内容もいい!

 いきなり魔法使いの前に提示されるタイムマシンという未来科学の産物。

 ミステリーな部分を残しながらも、ラブやアクションに向かっていく全方位性が贅沢で良いですね。

 夕映の葛藤と、カモっちに見抜かれるところも、とても良かったと思います。

 夕映は、今最も本作で熱いキャラかもしれません。

朝倉の司会はパーフェクトに好きだ! §

 しかし、私にとっての最大の見せ場は、朝倉の司会です。

 まず、レースクイーンを連想させるようなスマートでセクシーなコスチュームは完璧に好みにジャストミートです。

 それだけではない!

 司会として喋る言葉がまた凄い。

 たとえばこれです。

「これこそが真帆良の良心 ほのぼのクラブ・さんぽ部のアルティミットスキルなのかーーっ!?」

 明らかにミスマッチしている言葉の連鎖を、熱く叩き出すこのすばらしさ。最高のセンスですね。

そして、PC88SR以前 §

 読み終わってから気づきましたが、カバー折り返しの作者の言葉に「PC88SR以前」という言葉が出てきます。

 これは熱いですね!

 PC88SRというのは、NECのパソコン、PC-8801mk2SRのことです。1980~90年代に日本のデファクトスタンダードとなったPC-9801シリーズのご先祖の発展形、という感じでしょうか。

 PC-8801という型番のパソコンはシリーズ化され、いくつものモデルがあります。それにも関わらず。"PC88SR"だけが特別な意味があるのは、おそらくパソコンにおけるゲームが実用的な意味で話になるようになったターニングポイントだからでしょう。これ以前とこれ以後では、まったく常識が変わります。

 具体的に何が変わったのかと言えば。

  • グラフィックはCPUがすべて処理→CPUを補助する加速回路が登場 (グラフィックチャージャーという名前だったかなぁ。正確な名前はもう忘れてしまった。構造はPC-9801シリーズのグラフィックチャージャーとほぼ同じと考えて良いと思う)
  • デジタルRGB 8色中8色表示→アナログRGB 512色中8色表示
  • 音程も変えられない単一のブザー音→FM音源の美麗なサウンド
  • テキスト画面表示のためにCPUを待たせてDMA転送→裏RAMを用意してCPUを止めないでテキスト画面表示 (つまり処理速度アップ)

 この変化によって、おそらく一般の人たちが「昔のゲーム」と言って思い浮かべる水準が、やっと達成されたと思います。それ以前の「ゲーム」は、もっとしょぼいということですね。

 (厳密に言えば、"PC88SR"だけがターニングポイントというわけではなく、パソコン史上他にも様々なパソコンがあったことは事実です。しかし、圧倒的なパワーアップによって多くの人たちに強い印象を残した"PC88SR"が特に連想される名前として出てくるのはやむを得ないことでしょう)

 ちなみに、ENIXのお仕事でPC-8801系のパソコンはたくさん触りました。"PC88SR"も、かなり使い込みました。まあ、そういうわけで、"PC88SR"は持っている価値があると思って、だいぶ後になってから秋葉原の中古屋で買いました。残念ながらFDDの1基が純正ではないため、動かないソフトがあるのが残念。

 というわけで、PC88SR以前に学園祭で相性占いのプログラムを出した赤松さんは、少なくとも私と同じ世界を見ていると分かってちょっと嬉しかったという話でした。

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