2005年08月03日
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京極夏彦対談集 妖怪大談義 京極夏彦 角川書店

Written By: 川俣 晶連絡先

 ああ、これはめちゃめちゃ面白い本です!

 宮崎駿ネットワーカーFCのメーリングリストに送った紹介文の抜粋を以下に再掲。

 以下の文章はナウシカ関連のフォーカスしていますが、それ抜きでも非常に面白いですよ!

京極夏彦対談集 妖怪大談義 §

 以下の本を読み終わりました。いや~、予想外の面白さにクラクラ。

京極夏彦対談集 妖怪大談義

角川書店

\1,575-

ISBN 404883925X

 どの辺が面白いかといえば、雑多な過激さ。

 大塚英志が民俗学は偽史であると言うと、京極夏彦がもやもやした部分をすっきりする名言だと喜んでいたり。

 かと思うと唐沢なおきとの対談では、マニアックなB級妖怪談義で盛り上がっているし。京極夏彦も、明らかに駄目な妖怪本のことをよく知っていて、これがまた盛り上がる (笑)。

 そして、誰も妖怪は実在するかしないか、という問題について語らない。いなくて当たり前という前提で話しているわけです。それなのに、盛り上がる (笑)。

 最終的にこういう話に行き着きます。

p403

京極 (中略)内裏に鬼が出てきて人を食ったという記述に対して「まあ、昔は出たんだね」と、「出るわけ無いからだ(ママ)、捏造記事に違いない」と、たいていこの二種類の受け止め方しかなかったですよ。でも、そうではなくて、それが当時の人にとってリアリティがあったのかどうかということをまず問題にするべきなんです。当時にだって鬼が出て人を食ったなんて話、リアリティはなかったはずですよ、間違いなく。リアリティがない話を公式の記録に載せねばならなかった、その事情をこそ考えなくてはいけない。

 ね、面白いでしょう?

 さて、ここからが本題。

 この本の中でナウシカに言及されています。

p398

(西山=西山克 歴史学者)

西山 それと、学問外の話ですが、媒介者という視座を考えた時に、ふとこんなことを考えたんですね。宮崎駿さんの、例えば「風の谷のナウシカ」などは、実は媒介者の物語なんじゃないのかなって。

京極 いや、紛れもなく (笑)。

西山 文明に野生が、日常に非日常が、此岸(しがん)に彼岸が入り込んでくるのが怪異なんだと思うんです。で、その間をとりもつのが媒介者。その意味ではナウシカは宮崎駿さんなりの、文明と野生をつなぐ媒介者なんだろうと。で、宮崎さんは媒介者に世界が救えるのか、というテーマを提起している。そこのところが、学問という枠を外して僕の今一番興味のあるところなんです。

 というわけで、このような紹介では面白さの1/10も伝えられていないと思うので、ぜひ読んでみて下さい。

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