うーん、これは何だろう。
どう受け止めれば良いのか、非常に悩む作品です。
主人公のNANAも二人いるし。
それどころか、この1巻が丸ごと壮大なプロローグということのようです。つまり、まだ本編に入っているとは言えないわけです。
感想 §
不幸すぎる主要登場人物。
美形でありすぎる男達。
すぐに体の関係になってしまう生臭さ。
性欲を持っていることも含めて美化されすぎている男達。
一方で、大したポイントもないのに愛されるヒロイン達。
全体として、明らかに壊れている世界観。
といったあたりが読みながら印象づけられましたが、それは不問にしましょう。
娯楽作品というのは、読者に都合の良い破綻に満ちているのが当たり前。
問題なのは、これがどのような読者に対して、どのように受容されているかです。
つまり、何の取り柄もなく、努力をしているとも言い難い少女が、傷つけられる形であれ、美形の男とあっさりとくっついてしまうようなドラマを、そこそこの良い年齢の女性達が当然のことのように受容しているのだろうか……ということです。
もし、この作品で描かれていることが、当然あるべき世界であるという受け止め方をしているとすれば恐いな、と感じました。
ちなみに、恐い受容のされ方をしている書籍は他にも山のようにあるので(思想関係、国際関係、萌え関係など)、特にこの作品の読者を非難しようという意図はない、ということは補足しておきましょう。むしろ興味は、恐い受容の背景の構造にあります。
ギターと煙草 §
東京に出て行くとき、手荷物はギターと煙草さえあれば良い、というのは5年前に出版されたという時差を考えても、どうも時代錯誤な感じがしますねぇ。特に、煙草は社会常識的にアウトでしょう。
これもまた、どのように読者に受容されているのかが気になるところですね。
いや本当に。
このシリーズの読者にインタビューを試みてみたい、という気持ちになりましたよ。