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2005年09月29日
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世界の果てを見に行こう・その場の思いつきで

Written By: 遠野秋彦連絡先

 世界の果てを見に行こう

 世界の果てを見に行こう

 ほんの片手間に

 その場の思いつきで

 お手軽に お手軽に

 それは不遜な思いつき

 まるで、お釈迦様に喧嘩を売るような

 とても不遜な思いつき

 僕は出かけた

 僕は歩く

 坂道を下る

 犬が吠え掛かる

 昔は本当に驚かされた

 だが慣れた今は

 むしろ可愛い奴だ

 坂道を下る

 神田川の流れが

 長い長い年月で

 浸食した低地へと

 坂道を下る

 宗教団体の

 荘厳な建物の裏手を抜け

 ろう学校の脇の

 桜の名所を抜け

 目の前に神田川を見る

 不思議なことに

 何回も来たことがある場所なのに

 川の向こうの洒落た光景に

 思わず足を止める

 綺麗な花咲く木々

 その向こうに洒落た洋風の家屋

 それは素敵な光景

 思わず足を止める光景

 本当の驚きは、遠くの世界にはない

 本当の驚きは

 本当の驚きは

 見落とされた身近な世界にこそある

 世界の果てを見に行こう

 その思いつきの意味を

 僕はけして間違えてはいない

 世界の果ては宇宙の果てではない

 徒歩で宇宙には行けないから

 世界の果ては地球の果てではない

 地球は丸く果てがないから

 では、いったい何が世界の果て?

 陸が尽き、海が始まる場所が果て?

 僕は……

 いや僕の足は……

 海までの距離を知っている

 それは、気楽に徒歩で行ける距離ではない……

 では、目の前の神田川の水源地?

 そう、それは神田川の果てと言える

 (もちろん、もう一方の果ては隅田川に注ぐところだ)

 僕は、水源に向かって歩き始めた

 左手に東電のグラウンドが見える

 とても大きなグラウンドは

 巨大組織東京電力にふさわしい

 しかしこのグラウンドによって

 道は遮断され、神田川にたどり着けない

 信号が行く手を遮る

 この角にあった蕎麦屋は

 いつの間にかなくなっていた

 一度ぐらいは行ってみたかったのだが

 それはもう無い

 信号機のボタンを押して待つと

 車が止まり

 僕は進む

 はるかに強く大きな車を

 この一瞬だけ僕は支配する

 巨大権力の幻想は

 しかしすぐに忘れ去られる

 それは幻想に過ぎないから

 左手には下高井戸グラウンド

 グラウンドは見通しがよいので

 向陽中学の校舎までよく見える

 地名とは何ら関係がない不思議な名前の中学校

 でもそれは我が母校

 万葉植物園があるので有名な中学

 だが僕が通っていた頃に

 それはなかった

 水はけが悪い校庭という印象ばかりが残る

 杉並区内の神田川の両岸は

 車が排除されたサイクリングロード

 自転車や歩行者が

 楽しげに通る道

 犬を散歩させる人たちも

 せわしげに通る道

 しかし、やがて右岸は自動車道路と合流する

 僕は左岸を歩き続ける

 自動車に気を使いながら歩くのは

 この場には似合わないと思うから

 下高井戸八幡宮の裏手の木々が

 圧倒する緑として見えてくる

 ずいぶん遠くに来たものだ

 ここは普段なら来るはずのない場所

 お祭りの日にしか来ないような場所

 しかし、お祭りは先週の出来事

 子供の頃、僕の目は露店に並ぶレアなプラモに釘付けになった

 今の僕は

 とうに生産中止になった

 ファミコン本体の綺麗な箱を誇らしげに掲げる

 露店の存在に目を丸くする

 だが、それも過去の出来事

 今日は晴れてはいるが

 ハレの日ではない

 僕はややくたびれてきた足を

 左右交互に進める

 そして限界を悟った

 いや、本当はまだ限界ではない

 僕はまだ歩ける

 だがしかし

 もしも帰る気があるのなら

 ここで引き返さなければ帰れない

 そんな悟りを得た場所だった

 これが僕の果てなのだ

 僕は思った

 果てとは客観的な概念ではない

 僕という存在が

 これ以上先に進めない場所

 それが僕にとっての果てなのだ

 つまりは、僕にとっての世界はここで果てる

 ここが世界の果てだ

 たとえ目の前に道が続いていても

 僕にとっての果てはここにある

 前方を見ると

 塚山公園らしき緑が見える

 僕は一度だけ塚山公園に行った

 そのとき、僕は徒歩で帰った

 僕は敗北した気持ちになった

 ただ負けたのではない

 自分に対して敗北した気持ちになったのだ

 孫悟空は、お釈迦まさに敗北した

 お釈迦様に負けたのなら、諦めもつくだろう

 だが僕は

 過去の自分に敗北した気がした

 乗り越えるべきものは

 いかなる敵でもない

 それは自分自身……

 そのようなことを考えたのは

 このささやかな冒険から戻って

 だいぶ時間が過ぎた後だった……

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