内容の正しさを判断するだけのバックグラウンドは持ち合わせていませんが、読んで面白かったと思います。
内容の半分は、おそらく『「戦時下」のおたく』のより分かりやすい要約と思って良いと思います。雑然とした(しかしそこが魅力である)あの本と比較すれば、遙かに整理され、分かりやすくまとまっています。
残りの半分は、ジャパニメーションの惨状です。実際、冷静に考えれば、ジャパニメーションは世界を席巻などしていないし、これからすることも無理でしょう。いくら宮崎アニメが海外で賞を取っても、それがアメリカでの観客動員に結びついていないのは、宮崎ファンなら良く知っているはずのことです。
まあ、オタク文化を何か素晴らしいものだと思っている勘違いした人たちに冷水を浴びせるには良い本でしょうね。
ディズニーとの関係 §
私自身がディズニーをいかにして受容すべきかというのは大きな問題です。
特に、スクゥエア・エニックスのキングダムハーツというゲームに置いて、その問題は顕在化しています。スクエニのキャラとディズニーキャラが競演するこのゲームを、いかにして私は受け入れるべきか?
一方で、このゲームをけっこう好ましいと思う自分がいる反面、ディズニーへの嫌悪感というものがあるのです。
実はこのゲーム、オリジナルのパッケージの他にFINAL MIXまで買っているにも関わらず、クリアしていないのです。
(まあ、FINAL MIXはオマケのFINAL FANTASY X-2の映像を目当てに買った要素があるのは否定できないものの)
しかし、ジャングル大帝はバンビのリメイクであるのは手塚ファンには自明だという話を読むと(ライオンキングがジャングル大帝のリメイクだという話ではない。順序が逆)、ディズニーを現在の自分の文化の遠い祖先として受容する視点もありかなという気がしました。
とすれば、ディズニーのキャラクターとスクエニのキャラクターの競演は、スムーズに成立しうるのかもしれません。
いや、このゲームでは実際に成立しているわけですが。
つまり、前向きに積極的に受け入れても良いのかなと。
結局、このゲームを途中で中断してしまった理由は、訪問する世界の1つであるホラーな世界にどうしても乗れなかったからで、それはディズニーだからでは無いわけです。
もう1つ言えば、どうして今になってそれが気になるのかと言えば、今日になって新作キングダムハーツIIのトレイラーを見て、これが非常にそそられたからという理由があります。迷い、傷つき、武器を投げ捨て、闇の世界に自ら行きたいと望む主人公の姿は、極上のドラマを予感させます。ぶっちゃけ、FINAL FANBTASY XIIよりもそそられるものがあります。
というわけで、この本は、ちょっと参考になって良かったかも。