昔々、ナポレオン文庫という文庫があったのですよ。
実はこの文庫、消えて無くなるまでに出た本の9割ぐらいは集めました。
その存在が興味深かったので。
しかし、それを全て読んだのかと言われると、ノーです。実際には1割も読んでいません。存在が面白いから集めてみたものの、読んで面白いというわけでもなかったので。
とはいえ、中には面白いものもありました。
特に最初に出版された数冊の中の「熱砂の惑星」と「俺はオンナだ!?」が印象に残ります。
「熱砂の惑星」は、女の囮捜査官が悪の組織に捕まって陵辱される話なのですが、陵辱される側の女性視点で描かれていて、かつ、その女性が前向き勝つ能動的だという点で、一般の男性向けポルノグラフィーの枠組みを逸脱しています。
「俺はオンナだ!?」の方は、男性主人公が魔法で女性に性転換させられ、陵辱される話ですが、これは性転換させられた側の男性(女性化男性)の視点で話が進むという点で、やはり一般の男性向けポルノグラフィーの枠組みを逸脱しています。
つまり、この2つは、男=能動的に犯す側=読者の感情移入先という基本構造を盛大に逆転しているという点で、実に皮肉な面白さを感じられたわけです。
逆に言えば、単純に男性視点で女を犯す話など、男性の願望的欲望をあまりに忠実に反映しすぎて面白くも何ともない……、と言えます。(だって、男と女の間に双方向の緊張感があってこそ、面白いわけでしょ? 役割が一方的に固定されたら、相手は人ではなく人形)
しかし、実際に出版されるこの手のポルノグラフィーのほとんど全ては、まさにその面白くも何ともない小説ばかりであって、そういう世界をウォッチする価値も感じられないほどの状況だったと感じます。
だから、この文章を書くために調べて、初めて「熱砂の惑星」の増補改訂版が出ていることを知ったりするわけですね。
さて、ここからが本題です。
「熱砂の惑星」のような女性視点のポルノグラフィーは、必ずしも存在しないわけではありません。
しかし、「俺はオンナだ!?」のような男性が性転換して女性になり、その女性化男性の視点で進行する小説は、おそらくほとんどありません。少なくとも、私が商業出版物の小説の中で見る限り、同タイプの小説はありません。極めてレアな存在だと思います。
ところが、最近になって、「俺はオンナだ!?」と同様に女性化男性の視点で話が進行するという、思わず「本当かい?」と言いたくなるような小説が存在することを知りました。
それが、この「マヴカレ魔法少女!」です。
と言うわけで、まさに珍獣を見に行く感覚で欲しくなりました。
しかし、本屋を見ても無く、結局アマゾンにオーダーしてやっと届いたものです。
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