2005年12月26日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編total 2530 count

くもはち 山崎峰水 大塚英志 角川書店

Written By: 川俣 晶連絡先

 これは面白い。

 まず風景の描写がいい!

 当時の(たぶん)ありそうな風景です。

 浅草十二階が当然のような顔をして背景に描かれているのが、歴史資料館巡りのおかげで培われた感覚とマッチして気持ちよく受け止められます。

 そして、次々出てくる実在の文学者。

 有名なイギリスの偽造妖精写真。

 千里眼の千鶴子。

 首が伸びるだけでなく、身体から離れて飛んでいく「ろくろ首」。(首だけ飛んでいくのは、小泉八雲の著書に出てくる「ろくろ首」)

 その上、主人公はのっぺらぼう!

 のっぺらぼうなのに、誰も変だと思わない不思議さ。

 本当に面白いマンガとはこういうものを言うのだと思います。

それとは別に価値があるのは…… §

 実は最後に付された大塚氏の短い文章が凄いのです。

 なぜ妖怪と文学者が1つの作品の中に出てこなければならないのか、その理由が明快かつ手短に語られています。

 特に名言の部分を一部抜粋引用。

そもそも「近代」に入って人々が感じた不安は「私であること」の不安に他ならない。その「私であること」、つまり「私って何」という不安を受け止めて言葉にすれば「文学」となり、不安を何か自分の外側に投影してしまえば「妖怪」となる。

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